ロードチューブレスタイヤでパンクしたらどう対処するのか

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「チューブレスタイヤが増えてきていて、興味があるけどパンクが………」と思っている人が多いのではないだろうか

MTBでは当たり前になっているチューブレスタイヤだが、実はロードバイクでも既に 10 年以上の歴史がある

自分はロードチューブレスの草分けたるHUCHINSON Fusion2 TLとシマノWH-6700の時代からロードチューブレスを使っているが、はっきり言ってロードチューブレスのパンク対処は難しくない

最も簡単確実なロードチューブレスのパンク修理方法

最も確実なパンクへの対処方法……それは、チューブを入れることだ。

馬鹿にしているのかと思われるかもしれないが、チューブレスタイヤでも、チューブを入れる以上に確実な方法はない。急がば回れだ。

**チューブレスならシーラントを追加して直る!**だとか、**外部から修理するパンク修理キットが売られている!**など言いたいことはあるだろうが、経験上これらを使っても、ロードチューブレスで一度起こったパンクに対して走行を継続できる確率は非常に低い

そもそもチューブレスを使っていて、「一定レベルの突き刺しパンク」で「シーラントが内部に残っている」状態であれば、チューブドタイヤでパンクしていたシチュエーションでも意識することなくパンクを回避できている。それ以上の状況下においてパンクした時点でシーラントに頼らない方がいい。

また、ロードチューブレスは空気圧が MTB に比べて高いので、シーラントが上手く固まっても空気圧に耐えられないケースもある。

例外

例外的に、ビードがズレて空気圧が落ちた場合は再度エアを充填しなおし、ビードとリムの密着度を高めることで解決することがある。

ただ、この症状は小石や岩にタイヤをぶつけた場合に起きることが多く、オンロードでこの状況になることはほぼない。

先日、グラベルライドで AGILEST TLR がこの状態になったが、ハンドポンプで復帰している。

フックレスリムの場合はどうする?

勘違いされていることも多いが、フックレスリムはチューブレスタイヤのみに対応していると書かれているものの、チューブレスタイヤにチューブを入れて運用してはいけないわけではない。もちろん推奨はされていないので注意が必要。

フックレスリムにクリンチャータイヤを付けてはいけない理由は、ビードだけで空気圧に対してリムへの密着を維持できる設計になっていないから。

例外的に、IRC の現行 ASPITE はクリンチャーながらビード部の形状を工夫することでフックレスリムに対応できるとしている。

チューブレスタイヤ使用時の持ち物

  • タイヤの太さに応じた予備チューブ
  • チューブレスタイヤを装着できるタイヤレバー(IRC の TL 専用レバーが手に入りやすい)

クリンチャータイヤを使っていた時と何ら変わることはない。追加で考えることは何もない(シーラントが液状なのに直らないパンクに遭遇したら諦めが肝心)

タイヤについては、帰ってから存分にチューブレスタイヤ専用のタイヤパッチで修理しよう

パンクリスクへの対処を考える

ここからは、何故ロードチューブレスにおいてチューブとタイヤレバーの携帯が最適な用意と思われるのか、つらつらと説明していく。

そもそも、ライド中のパンクとは一定確率で発生することを覚悟しなければならないリスクだ。

一般に、プロジェクト管理などで実施されるリスク対応は下記の4つに分類される。

  • 回避

  • 転嫁

  • 軽減

  • 受容

    「回避」戦略はライドをしない、ノーパンクタイヤを使う、などの方法が挙げられる。

    「転嫁」戦略は保険のロードサービスや輪行袋を常に携行するといった方法、 「軽減」はシーラント材の利用や、耐パンク性の高いタイヤ(それこそチューブレスタイヤを使うことも含む)を使うことが挙げられる。

「受容」はリスクを飲み込んで使うことだが、パンクリスクに対しては軽減と合わせて考えるのが現実だろう。

上記を踏まえて、ロードバイクを乗っているときにどのようにパンクリスクに対して対処をしているか?と考えると、現実的には軽減策を可能な範囲で行い、低下したリスクを受容して用意しておいた継続計画を発動するのではないだろうか。

パンク対応手段に求められるものは?

ここでいう継続計画というのは、要するに**パンクに対してどう対処することにしているのか?**ということ。

この場で求められるのは「再度、ロードバイクを走行可能な状態にもっていく」 ことだ。

チューブレスタイヤでは以下の手段が用意されている

  1. チューブを中に入れる
  2. シーラントを追加して空気圧を上げ、穴をふさぐ
  3. プラグを穴に詰め、シーラントを追加して穴をふさぐ

持ち物の大きさは 3 > 2 > 1、といったところだろうか。

対応できるパンクの範囲の大きさは 1 > 3 > 2だろう。大穴もプラグなら修理できるし、チューブならサイドカットやリム打ちによるビード裂けにも対応できる

さて、1回のライドでチューブレスタイヤをパンクさせる可能性を1%から2%(年に1回レベル)とする。経験上大外れはしていないはず。

この可能性に対して携行するものを、対応範囲とコスト見合いで決めることになる。

正直言うと、3はオフロード界隈では実績ある手法だが、ロードバイクでは普及しておらず、硬く厚いタイヤにたいして上手く施工できるのかまだ自分も結論が出せていない。

ロードタイヤでも問題なく直せるというふれこみのGOKISO製チューブレスプラグも存在するが、お値段2万円となっている。使う人次第ではあるものの、年1使うかどうかいう道具がいかに良かろうとも自分は使おうとは思えない…(換えチューブなら数百円だ)

CANYONで購入できるDynaPlugもロードバイクで使えるようだが、今のところN=1の成功例だ。ちなみにこれも40ドルは越える…

コスト的に候補に挙がるのは、1と2なのだが、対応できる範囲に差がありすぎ、主にこの点からチューブレスタイヤでもチューブを持ち歩くことを推奨するに至っている

年1回か2回程度しか起こらないのに、バックアップ手段での復帰可能性が低いのではお話にならない。

結局、下記に述べる2回目の処置を考慮する必要があるという点でも、チューブ修理の効率性は高い。

2 回目のパンク

さて、自転車においては「パンク修理した後のパンク」についても考慮する必要がある。

処理が甘くて同一箇所が再度パンクする場合もあるし、全く別の要因でパンクする可能性もある。泊りがけのツーリングに出かける場合など、家に帰るまでの時間が長くなるほど考慮すべき項目だ。

厄介なことに、チューブレスの場合は1回目に処置した方法が機能しているか判明するまでにタイムラグがある。これが「チューブレスの修理が面倒」と言われている所以であると思われる……代表例はシーラントが空気圧に耐えられず再噴出する場合。

つまりこれはバックアップのバックアップの話だ。最初のバックアップ手段より対応できる範囲は同等もしくは広くなることを求められる。

チューブなら、修理用パッチを追加すればよい。簡単!

それに加え、出先でチューブやパッチを追加購入することで、リスク対応の準備を自転車屋に「転嫁」もできる。それに比較して、他の方法だと結局チューブを持ち出す(もしくはあきらめてタクシーなど)ことになる

なら、最初からチューブ前提で運用を組み立てようというのが自分の意見だ。予備チューブの鮮度を保つために、送料調整でLifelineのチューブを買おう。