SENICX PR3 グラベルロードにぴったりな激安24mm軸クランク(パワーメーターも可)
SENICX PR3 Crank Review
SENICX PR3クランクは、新興コンポーネントメーカーであるSENSAHの関連ブランドによる、24mm軸のクランクセット。
SENICX単体のウェブサイトが公開されているが、AliExpressのSENSAH公式ストアで購入可能なあたり、SENSAHの関連ブランドであることがわかる。
なお、AmazonでもSENSAHの公式ストアらしきものが確認できる。
シングル仕様であれば、AliExpressの安いセラーから50ドル程度で購入できる、非常に手ごろなお値段だ。
SENSAHのコンポーネントは、変速系についてはトライスポーツが輸入代理店として国内販売しているが、クランクについては未だ国内での販売が行われていない。
SENICX PR3クランクはその名の通り3代目で、PR1/2はDUB規格のクランクであったが、PR3以上のナンバリングはシマノ24mm軸のクランクとなっており、日本のロードバイクユーザーにとって導入しやすい規格になっている。
グラベル向けにGRというシリーズも展開されているが、寸法仕様を見る限り、PR3もGR3も同じものと思われる。
仕様
- Compatibility :12S / 11S / 10S
- Crank Material : Forged AL-6061-T6
- Crank Length :165mm,170mm,175mm
- Chainring Material :AL-7075-T6
- Chainring :44T,42T,40T
- B.C.D : Direct Mount
- Q-Factor :151mm
- Chainline :49.7mm
重量は、165㎜の42T仕様を計測したところ691gだった。
仕様の中で特に注目するべきは、Qファクターとチェーンライン。151㎜と49.7㎜という数値は、シマノのGRXクランク(シングルギア)と完全に一致する。
グラベルロードは、太いタイヤを装着するためにチェーンステーが外側に張りだすことが多い。ロードバイク用のクランクを使うと、チェーンステーとギアが干渉してしまうため、グラベルロード用に広いチェーンラインが必要となる。
PR3はフロントダブル仕様もあり、ロードバイク向けの歯数も取り揃えているが、ロードバイク向けというよりは、グラベルロード向けのクランクと言える。
世界的に見ればグラベルロードは大きなマーケットで、なおかつまだまだ成熟していないため、大手にチャレンジするには良い市場だ。そのため、新興メーカーがグラベルロード向けの製品をリリースしつつ、ロードバイク向けに転用して販売するのも已む無しと言えるだろう。
自分も、REVOLT ADVANCEDにROTOR 3Dクランクを使っているのだが、アウター側にシングル用チェーンリングをセットしても、チェーンステーと干渉してしまう。
そこで、チェーンリングボルトにスペーサーを入れることで、なんとか凌いでいるという状況だ。目視だが、ラベルロードにポン付け可能なチェーンラインは48㎜以上といったところ。つまり、GRXとチェーンラインが同じPR3クランクならば、ポン付けで済む。
なお、価格を考えれば仕方ないが、チェーンリングの歯の仕上げは手が込んでいないように見える。一応ナローワイド形状ではあるが、泥の排出やチェーンの保持性能に対して、工夫は見られない。
パワーメーターも可
ダイレクトマウント規格は、SRAM 3ボルト規格。そのため、Power2MaxやSIGEYIといったチェーンリング型パワーメーターも取り付け可能だ。
パワーメーターを介して、110BCDの5穴・4穴規格のチェーンリングを取り付けることも可能になるので、最悪メーカーが倒産しても延命可能。
実は、グラベルロードにおけるパワーメーターは悩みどころで、フレームとのクリアランスが千差万別であるほか、GRXクランクも最上位のRX800シリーズにしか4iiiiのラインナップがないという問題がある。
RX800は165㎜クランクがラインナップに無く、GRXでパワーメーターを使おうとするのはショートクランク利用者や低身長のライダーにはうれしくない。スパイダー型パワーメーターは、前述の通りチェーンラインがグラベルロードに最適化されてある必要があるため、装着元のクランクを探すのが一苦労だった。SRAM?BBが高いからちょっと
Assiomaのような信頼性の高いペダル型PMが現実解となるが、そこへSENICX PR3が颯爽と登場してくれたおかげで、スパイダー型のPMも選択肢へ加えられるようになった。
まとめ
散々、グラベルロード向けと言っておきながら、自分は街乗りCXに取り付けてしまった。
SENICX PR3は、シマノ24mm軸のクランクということもあり、取り付けは非常に簡単だ。自分の場合、ROTOR 3Dクランクからの換装だったが、BBも同じ24mm軸なので、そのまま取り付けることができた。
「自転車はパワーメーターがついて完成!」という気持ちもあったが、実際には街乗り車にパワーメーターを装着しても1kmの買い物ライドでログを取る気持ちになれなかったので、余ったパワーメーター付きクランクは売却して、コストダウンしたという経緯。
街乗りごときでクランクの性能を云々言うつもりはないが、取り付けに難があるということは無かった。少なくとも精度は信用できそうだ。
とにかく安くてシングルスピードのクランクが欲しい! という場合には、SENICX PR3は非常におすすめできる。24mmのBBはシマノの最低ラインのものでも十分使えるので、コストパフォーマンスは非常に高い。