2024 Vittoriaタイ工場製 A.Dugast Typhoon 33mm 装着インプレッション

CX REVIEW
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Vittoria傘下に入ったA.Dugast

シクロクロッサーにおなじみのタイヤブランド、A.Dugast。

2021年にVittoriaが買収したことで話題になったが、その後は特に動きがなく、オランダでのハンドメイド体制もラインナップもそのまま、グループ傘下に入ったことによるメリットもデメリットも感じられない状態が続いていた。

しかし、2023年になって、A.Dugastブランドで生産されるタイヤが、タイ工場への完全移管が発表された。これにより、A.DugastのタイヤはVittoriaの製造ノウハウを取り入れることになる…と発表されている。

ハンドメイドがもてはやされる自転車界だが、ハンドメイド=高品質とは限らない。ハンドメイドであるが故に、品質のばらつきが大きいことも事実だ。

事実、A.Dugastのタイヤは、センターが1周を通して完璧に出ていることはほぼなく、さらにエア抜けの速い個体が3~5本に1本の割合で存在していた。一般市場流通のタイヤはB級品で、供給タイヤは質がいいものを選んでいるという噂があるほどだ。

結果として、シクロクロス慣れしているユーザーや店であれば、新品タイヤを購入後、ホイールへ貼る前に空気を入れておき、翌朝空気抜けが遅い個体を選別するのが常識だった。もちろん、そうした欠点を補って余りある利点があるからこそ、人気があったのだが。

Vittoria生産への期待

私個人はデュガスタイヤの大ファンであり、シクロクロスもここ数年はずっとSmallbirdをメインタイヤとして利用している。

コットンケーシングのタイヤサイドはしなやかで、グリップ感が抜群。リム打ちしてもパンクしづらく、砂路面から泥路面まで信頼して扱えるタイヤだ。

そんなデュガスだが、前述した品質の不安定さ、価格の高さ、調達のしづらさといった点が不満だった。桁違いの生産数を誇る、Vittoriaの量産力・生産ノウハウを取り入れることで、コストの低減や品質の安定を期待していた。

3年待たされたものの、タイ工場への生産移管は望んでいた展開。早速、新生A.Dugastのタイヤを購入し、装着してみた。

タイ工場製A.Dugast Typhoon 33mm

今シーズンから耐久性の高いTyphoonにスイッチ
今シーズンから耐久性の高いTyphoonにスイッチ

今シーズンからTyphoonにメインタイヤを変更した。

Smallbirdと似た性質のオールラウンドタイヤだが、コンパウンドが異なり、耐久性が高く、複数シーズン使いまわせる見込みが大きい

Smallbirdのコンパウンドは低いノブでありながら、そのしなやかさでどんな路面でもグリップを発揮する。しかし、その分耐久性が低く、1シーズンでノブが削れてしまうことが多かった。ひび割れなどの経年劣化も速い。

子育てと並行しつつの参戦になるため、経年劣化でタイヤを買い替えるのはできるだけ避けたいという思いで、Typhoonで今シーズンから戦っていく。

取り付け

取り付けは、丁寧に前のホイールのチューブラーテープ糊残りを取り除き、新しいテープを貼り直す。

チューブラーテープはおなじみのEffetto Mariposa Carognaを使用。シクロクロス対応を謳っており、防水性と粘着力が高い。

過去、複数シーズン使ったタイヤでも、テープが原因でタイヤが外れたことは皆無であり、タイヤがパンクするか、寿命を迎えるまで使い倒せている。

空気抜け

4本中4本とも、20時間でほぼ空気抜け無し
4本中4本とも、20時間でほぼ空気抜け無し

上のポストの前には、当然空気抜けを事前にチェックしている。20時間経っても、今回購入した4本全てで顕著な空気抜けは無かった

それだけでなく、4本共が同じように空気圧を維持している。「使えはするものの、ちょっと抜けの速い個体がある」というバラつきもない。

知人のショップ店員のツイートを見ても、13本貼って空気抜けは1本という結果になっており、自分のものと合わせると実に不良率1/17という(シクロクロスチューブラーとしては)高い品質であることを感じる。

特にバラつきが少ない点は重要で、抜けの速いタイヤをフロントに回してパンクリスクを減らすといった考慮をする必要もなくなる。

グラフィックとしては、Vittoriaロゴがプリントされるようになったほか、最大空気圧表記が追加された。

価格・入手性

期待していたうちの1つである品質の安定は、満たされたと組付け時点では感じている。

もう一方のコストの低減については、価格はほぼ据え置きである。しかし、国内代理店経由の価格が直販と同等で、円安に大きく振れている2024年の為替レートを考えると、実質的に製造コストは下がっているのかもしれない。こればかりは中の人でないとわからないが。

Yahoo!ショッピングで気軽に新品が買えるようになったのは明確にプラス。

気になる使用感については、触った感触ではほぼ変わっていないものの。レースにならないとわからない部分もあるため、レースレポートの中できちんと評価したい。